円空の仏さん

「護法神」 中山寺(三重県)

神戸大丸に円空仏を見に行く。名前ぐらいしか知らなかったんだけど、チラシに使われていたこの像がとても気になったので、次の日が最終日ということもあり急いで見に行く。

以下、Yahooのイベントページから引用
<ナタ彫りの木彫刻で知られる江戸時代初期の遊行僧円空。流浪の旅の中より生み出され、庶民の敬虔な信仰の対象となった円空仏の中より、約120体の優品が厳選され、展示されます。生涯慈悲の心を貫いた円空の人柄と無欲無心の芸術が紹介されます。また、同展の開催を機会に、新たに発見された円空仏も初公開されます。「円空仏」の展覧会としては10年ぶりになり、全国第一会場として神戸で開催されます。>

確かに荒削りだ。ナタで、がすっがすっと削っていった感じで、名前の付け方なんかもすごく適当なのもあるらしく、円空さんはきっとすごく豪快なヒゲ面で声のおっきいおっちゃんで、一体を一、二時間ぐらいでばーっと作っていったのかなぁ、だって何と言っても12万体以上(!)作っている訳だし。なーんて勝手に想像しながら見てたんだけど、だんだんその表情が気になってくる。よくよく見ると、菩薩像とかなど目の辺りは素っ気ないほどシンプルなのに、ほっぺたとか口角の下辺りの線が本当に繊細に彫られてるんですねぇ。驚いた。だからこそのあの微笑なんだ。

会場の終わりの方にも、二、三十枚の仏さんの顔のアップの写真が貼られていて、「どんなに拡大しても、微笑みはなくなりません」みたいなことが書かれてあり、つまり実はどれだけ丁寧に作られているかに気付いて、ということだったんでしょうね。

確かに5センチぐらいの本当に小さな仏さんの顔でも、本当に柔らかく笑っている。勘というか無心の業とでも言うべき荒削りな体と相まって、きっと円空の手によって木の中にあったものがあるべき形として取り出されたに違いない(よく言われることではあるけれど)と、もう一度感動したのでした。

作品は、いかにもナタ彫りというのからきれいに磨いてあるものまで様々で、人の形以外にも、カラス天狗だとかなんじゃこりゃっていうものまであり、もとの木の形にあわせて体がふっとたわんでるようなものあり、大満足。お腹いっぱい。

あとすごく小さな像で、他の像はほとんどは半眼なんだけど、そいつには目が入っていたからか顔がすごくリアルに見えて、目が合ったような気がしてびっくりした像がいた。あまりにもきょとんとびっくりしたような顔で立っていたので、もしこの中に例えば時空がつながっちゃって円空さんとか同時代の人の意識が一瞬タイムスリップして入ってて、向こうからもこちらが見えてんだったら面白いなとか、SFチックなことを考えて楽しんでました。

会場では、すごくいろんなことを空想して楽しめた。不思議な空間でした。