ボサ的な声とジャズ的な声と

昨日聴いたShuさんの声は、聴くと一発でボサノバっぽいなーと思わせる声だったんだけど、そうするとこの前いっしょにやった佐久間くんが私の声をジャズ的やなー、と何回も言っていたのを思い出しました。

確かに、ボサの例えばナラ・レオンとかジョビンとかは、なんだか前のめりなツーっと響くようなちょっと硬めの声でささやくように歌ってる。で、ジャズになると、カサンドラ・ウィルソンとかカーメン・マクレエとか、低ーい声でぼわぼわーっと歌ってるのが主流ですな。昔の人にはちょっと硬質というか金属っぽい倍音が出てる気がする人も多いんだけど、ビリー・ホリデーとか。

なんて思ってたら、古い歌の教本を見つけました。私が高校の時にヤマハ・ポピュラー・ミュージックスクールに通っていた時に(笑)やめる直前買ったやつ。当時はよく判らなくって見てなかったけど、今見てみると結構面白い。

で、その中で声をいろんな所に響かせて訓練しましょうというページがあって、あ、そういえば響かせる所によって出てくる音が違ったなぁ、と再確認。きっとボサノバは前の鼻の付け根とか、おでこに音を響かせていて、ジャズはどちらかというと後頭部とか首の後ろなのですね。

あと、言語によって共鳴させる場所が変わってくるっていうのもあるんだろうな。英語をしゃべっているときって、日本語のときよりもっと咽の奥の方から音を出した方が上手に聞こえるのを発見して面白かったんだけど、この前ポルトガル語でがんばってボサを歌ってみた時、発音を似せようと色々試してみると、音を出す場所は英語よりは日本語に近いほうがなんだか似た発音に聞こえた気がした。

そんな言語で歌われて発展してきた音楽の歌い手はやはり、下よりは上の方を響かせて出す音で歌っていて、それをまねようとした歌い手はやはりそんな風に硬くうたう歌い方もまねして、それがスタイルになって行ったのかもしれません。日本語の歌も、英語っぽく響く発声でやると不明瞭になるものなぁ。日本語の言葉がポップスに乗りにくいのは、そんな理由もあるのかな?

もちろん説明書きにも書いてあるんですが、普通歌い手は一か所だけを響かせて歌っている訳ではないし、全部を一度にということもまあ普通はなくて、何か所かが響いている中で特に強く共鳴している部分はどこかという話でした。